オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 開運橋のジョニーその①・・体が勝手に動き出す!?。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 開運橋のジョニーその①・・体が勝手に動き出す!?。

開運橋のジョニー。スピード、リズム、キレがバツグン。当日、店を後にし、午後7時から、盛岡市文化ホールで、篠崎 史紀(ふみのり)さん率いるN響メンバーによる室内楽を聴いた。店の音、その実演のスピード、リズム、キレにも劣らない。

「ハイウェイスター(高速道路の星)」。秋吉敏子さんのピアノはその言葉を連想させる。

「秋吉敏子さんの演奏を聴くための音」、かな?。一聴すると”奇妙な音”、浮世離れした音”に聴こえる。言葉で表現するのが難しい。中間帯域に的を絞り、この部分をフラット(平坦)に纏(まと)め上げ、無駄な音を排除、雑味、嫌味のない音に仕上げ、それに解放的な瞬発力を与えた。結果、躍動感溢(あふ)れるスリリングな音の自然な展開が魅力…と表現します。オーディオ的観点からは、かなり不利な音。広帯域とは言えない。高域の繊細に伸び切る音、低域のダンピングされた、抑制された「クッキリ」とした音の輪郭の表現は聴こえてこない。音楽の背景(SN比)は澄みきっていない。解像度は中間帯域を除き高いとも思えない。「グッ」と迫るエネルギー密度は、無きに等しい。だから、立体的な音像は得られないし、コントラストも低く、奥行きもない。音楽が押してこず、平面的。倍音もさほど響かない。よく聴こえる点を挙げれば、帯域は狭いながら、金管楽器の質感はいいし、ビッグバンドの各楽器のセパレーション、定位もいい。

それらを加味して、感覚的に言うと「中域でグイグイ引っ張る、スウィング感」。聴いていると体が勝手に動きす。「ワルツ・フォー・デビイ」、ビル・エバンスの”清らかなピアノの音”は聴こえない。「カインド・オブ・ブルー」の”緊張感のある深みのある演奏”も聴こえない。数多(あまた)のオーディオ的弱点が露(あらわ)になっても、「秋吉敏子」を聴くと体がスウィングする。

まさに、「私の音」!!。

一年半後、秋吉敏子さんの「記念ミュージアム」が盛岡市に建設される。場所は、来年度開業を目指す盛岡市中ノ橋通の盛岡バスセンター敷地内。センターの目玉となるミュージアムには、開運橋のジョニーが、ジャズ喫茶を開業するという。そこでは、どのような音を出すのだろうか?。

 ベースマン・店主・細川さんが抱く、”開運橋のジョニー”こと照井顯さんの音の印象。「大音量で長時間聴いても疲れない柔らかい音なのに、ジャズのリズム感とビート感と溜めが効いた面で押してくる音。”ジョニー”で聴くと普通のレコードが何故か意味のある良い演奏に聴こえてくるのです。照井さんの長年のコダワリの音」。

 初めて店を訪ねました。店主の照井さんが、「気に入っているCD、レコード、音のいい物(CD、レコード)、古い録音(CDでもレコードでも)3枚を持って来てください。そうすると、ジョニーの音がわかりますよ」と言われました。『開運橋のジョニー』、自分で持ち込んだ録音媒体を聴かせてくれます。