オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ E-5000 その①・・真摯(しんし)な音の印象を。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ E-5000 その①・・真摯(しんし)な音の印象を。

アキュフェーズのAB級プリメインアンプ。E-5000。90万円ほど。店主が、E-800と比較。感じた印象、その心中を余すところなく語る。珍しく多弁に。E-5000には、かなり厳しい内容。それで「あくまでも、一個人の嗜好(好み)、感想です」という逃げの手を打ちます。僕としては、このE-5000の音の一瞬のタメ(遅れ)が生じた後の伸びやかさバツグンの音を評価します。

キース・ジャレットのThe Melody At Night With You。トラック8、「Something To Remember You By」。

「このキースの曲(トラック8)、を(E-800で聴くと)『ごめんなさい。私が悪うございました』と聴こえます」と店主。E-5000ではそうは聴こえない。その音の差を「CD(E-5000)とSACD(E-800)の違いみたい」と。「E-5000は、ピアノ(という楽器)の音の輪郭は、出てます。が、E-800は、ピアノの音の芯が見える。音の出だしの‘速さ’、(音の)終わりの細やかさ(もよくわかる)。音の粒子といった(繊細な)ものが、聴こえる」。その違いをデジタルカメラの画素数に例え、「極端に言うと、E-5000が1千万画素、E-800が1億画素です。デジタル情報であるCDの音が、5000を通すと、アナログに。800は (極めて粒子が繊細という点で) デジタル的に私には聴こえる。(両者の)情報処理能力が違うと言ってもいい」。そのきめ細かいデジタル的に聴こえるE-800で聴いたキース・ジャレット。「キースのピアノ。(ピアノの)ハンマーのフェルトの柔らかさ、そして、キースの指先の腹(の部分)はおそらく、‘柔らかく厚いだろうなぁ’ (あの指があの音をだしていると) と連想してしまいます(E-5000ではそう聴こえない)」。

そして、ベーシスト・細川茂雄。思うところがあり、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」のCDを探し出し、「トラック4・MY ROMANCEを聴きます」と一言。曲が終わると「E-5000の方が、ベースのライン、音程、テンポが判りやすい。音が加速する。E-800、ベースの出足は‘速い’のですが、加速せず、(スピードが変化せず)遅い!。E-5000は、(ベースの音が)腰高だけど、(身体が)スウィングする」と語る。「絵で言えば、800は細かい点で書かれた緻密な絵。5000は、一気呵成(いっきかせい)に一筆書きで書かれた絵という感じです」。

E-5000の魅力。音の出はじめに一瞬のタメ(遅れ)があるが、その後の、発せられた音が徐々に、グングン加速、躍動、活き活きとして臨場感タップリ。例えば、ジャズを聴く。腕を組み、しかめっ面で、ステージを見ず、首(こうべ)を垂れ、無言で演奏を聴くのか(E-800)、それとは、逆に、期待を込めステージに目をやり、演奏が盛りがるとハミングして体を揺らし音楽を楽しむのか(E-5000)、どちらがいいか?。じっくり、ベースマンで聴いてみてください。

800と5000の印象を、何かこう難しく書いておりますが、試聴に臨まれた方は、気軽にね、聴いてくださいね。こうやって聴くと、『疲れますから』。店主も、「ピアノのフェルトがなんとか、ベースラインがなんちゃら」というような事は一切、お客様に訊ねませんから。店主と印象が異なっても大丈夫。自分が感じたままでいいんです。