オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ DP/DC-1000 歴史は動いた。その⑤・・ついにレコードを凌駕。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ DP/DC-1000 歴史は動いた。その⑤・・ついにレコードを凌駕。

DP/DC-1000のCD再生とヤマハGT-5000のレコード再生比較。「安心感」。ベースマン店主・細川さんが、その言葉をレコードの優れた音質の一つとして挙げた。「安心感」とは上手く表現したものだ。コンパクト・ディスク(CD)がレコードに及ばないもの。それは、僕は、‘力強さ’、もしくは‘響きの持続的エネルギー’だと思っていた。持続力がなければ、「安心感」は生まれない。CDとレコードの比較試聴。試聴曲は、ウェラー弦楽四重奏団の「モーツァルトのカルテット・パーティ」

ヤマハGT-5000。カートリッジ テクニカ・AT-ART9。カバーが10万ほど。指紋をつけるのが憚られるので手袋をして開閉。


CDが優れていたオーディオ的要素。帯域の広さ、解像度、高域特性(伸び)、低域の表現(ダンピング)、コントラスト、透明感、音の輪郭(シャープ)、音の鮮度・純度。レコードが優れていたオーディオ的要素。音の出足の速さ、中間帯域の表現(こもらず、膨らまず、痩せず)、繊細性、質感・密度、力強さ。SN比に関しては、音楽の背景が「澄み切った」という意味では、CD。「静寂感」という意味では、レコード。『質感・密度』と『力強さ』は、レコードに軍配を挙げたが、DP/DC-1000で聴くとこの部分が最も、改善された印象。『音の出足の速さ』、要するに『レスポンス』もかなりレコードに近い。「モーツァルトのカルテット・パーティ」。フレッシュに活き活きと、キレのある再生音で聴きたい。それらの要素に加え『力強さ』という『安心感』も感じるCD再生音がレコード再生音より良かった。

新版 クラシックCDの名盤 演奏家編 文春新書 2016年4月5日 第3刷発行。98ページのヘルベルト・フォン・カラヤンの文中に以下の一節がある。「~練習風景を見聞できた(クリスティアン・)ティーレマン(指揮者)は伝説の名コンビ=マエストロ・カラヤン&ベルリン・フィルの仕上がり具合に驚嘆し、「オーケストラとはかくも見事な音と響きを奏でるものか」と胸中で呟いたらしい。ところが次の瞬間、ティーレマンはカラヤン指揮台上の一言を耳にして愕然とする。「完璧に弾けるようになりましたね。では次に、曲に魂を入れましょう

DP/DC-1000。CDに魂を入れた。アキュフェーズの音、『精密なサイボーグ』とは、もはや揶揄(やゆ)できない。