オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ファンダメンタル MA10 その②・・音が軽い。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ファンダメンタル MA10 その②・・音が軽い。

アキュフェーズ A-75との比較試聴では、ブリッジ、ステレオ(一台のアンプを使う事)、バイアンプの三つの接続を試した(注)。一番、音質が優れていたのが、バイアンプ、次が、ステレオ、ブリッジは良くなかった。

試聴に使った一枚。フォーレの「レクイエム」。フォーレ自身の作曲の<原典版>。ラター指揮 ケンブリッジ・シンガーズ。MA10、<原典版>を慎ましく繊細に再生。

A-75に比べ、 帯域は広くない。音の粒立ちが明確な解像度ではないし、澄み切ったSN比というわけではない。が、色々な音が聴こえる解像力は、的確で、SN比は、くもり、ボケがない。高域は、くすんでないし、中域も籠(こも)らず、低域も淀(よど)みがない。帯域は狭いが、高域から低域まで、自由闊達(じゆうかったつ)に音が滑らかに、伸び切る、好レスポンス。音が軽い。音の輪郭は、シャープさに欠け、コントラストも低い。そのため、力感溢(あふ)れる広大な音場、立体的な音像といった要素は、求められない。A-75が、エネルギー感豊かに音場を「ブワッ」と拡張、また密度感強く音像を「ゴリッ」と構築するのに対し、音場を「フッ」と醸し出し、音像を「フワリ」と再現する。それは、あたかもオーディオ的な絶対的な性能を求めず、 聴き手が必要とする音だけを掘り出し、音楽鑑賞の「ツボ」を外さないように作り上げた印象。

音楽鑑賞時、音を掘り下げて(すぎて?)やや煩(わずら)わしいA-75、必要な音だけを掘り下げたMA10、どちらを選ぶのだろうか?。

(注)ブリッジ接続は、出力が四倍になり、力感は向上するが、音が荒れ、繊細さがなくなり、あまり関心しなかった。ステレオ接続は、音がブリッジに比べ、伸びやかになる。バイアンプ接続は、音のヌルさがとれ、音が締まる。解像力、SN比とも向上。このアンプの真価が出せる使用法だろう。

なお、アイキャッチ画像。アンプのリアパネル。老人には使いづらい。老人の目には、黒に青の文字が非常に読みにくい。端子の接続も、厄介な位置になっている。