オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ブロッドマン VC1 その②・・音の輪郭は「モナ・リザ」の微笑み!?

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ブロッドマン VC1 その②・・音の輪郭は「モナ・リザ」の微笑み!?

ブロッドマン、B&W802D3との比較試聴。一日目、「これが、160万のスピーカー(SP)でなく、80万なら、おススメだなぁ」とブログに書こうと思った。二日目、お客様の持ち込んだマーラーの「千人の交響曲」を聴いた時、「この聴こえ方だったら、160万でもいい!!」と書く決断をした。音質から言うと「硬さのない高域。深みのある低域の陰影表現」。工業製品というより「芸術品という外観」。使い勝手では、『自由に持ち運べる軽さ』。これらの3つの得難い要素を加味すると、802D3を前にしても聴き劣りしないし、所有する喜びを感じる。

飯野明日香さんのCD。ピアノという楽器の帯域の広さ、その残響が鑑賞のポイント。

オーディオ的性能では、802D3より3ランク下。帯域は狭く、ゆがみがある。くすみ、くもりが発生、「スッキリ」感がないSN比。 一音一音が「ハッキリ」と解像されることはない。低域に求められる、エネルギー感、力強さ、インパクトといったパワフル的な要素は及ばない。中間帯域には、ふくらみ、こもりあり。全体的な音の輪郭は、シャープさに欠け「クッキリ」しない。また、ハイコントラスト、ハイスピード、高レスポンスという躍動感を表現する能力も感じられない。802D3の集中度の高い立体的音像、SP間を突き抜けて展開される音場には太刀打ちできない。そして、明るい音調の802D3に比べ、くすんだブロッドマンの音調は、貧弱な「薄い」感じもする。

オーディオ的性能では敵わずとも、ヴァイオリンの「硬さのない高域」とピアノの「深みのある低域の陰影表現」、その2点が、B&Wより秀でていれば、いいと思っていた。結果、そうだった。ダイヤモンド・ツィーターの高音は、ヴァイオリンの実演の音とはかけ離れて聴こえ、木質感なし。逆に、音の輪郭の弱いブロッドマンの方が木質感十分。 録音空間内に ピアニストが 意図的に残した残響成分。下へ下へと落ち込むピアノの低域の持続的な残響音と響板の質感。 マーラーの交響曲を聴いた後、CDを持ち込んだ方は、「コントラバスの質感がいい」と一言。それらの観点から、802D3よりよく聴こえる理由を、オーディオ的要素に求めるのは難しいと思う。

 では、どのように説明するのか?。絵画技法で例えよう。”スフマート”という絵画技法がある。”スフマート”は、深み、ボリュームや形状を作り出すため、色彩の透明な層を上塗りする絵画技法。特に、色彩の移り変わりが認識できない程に僅かな色の混合を指す。ルネッサンス期にレオナルド・ダヴィンチ(1452~1519)らによって創出されたとされる。イタリア語の”スフマート”は、「くすんだ」という付帯的な意味もある、「薄れる」という意味。”スフマート”技法が使用された有名な例の「モナ・リザ」。口の周囲に”スフマート”技法が施されているため、口の周りにある影は、微笑んでいる結果、現れているものなのか、あるいは、陰影をつけた結果、微笑みのように見えるのか、議論の対象といまだになるという(Wikipediaより引用)。名画「モナ・リザ」。万人が認める魅力があるが、「ハッキリ、クッキリ、スッキリ」した絵画ではない。今一つ、色彩の境界が明確ではない。そこが、魅力だけど。ブロッドマンの音質に当てはめると、「聴こえているかどうか微妙な弱音の継続的な響きが失われない」ということになるのかもしれない。ブロッドマンの制作者(ハンスおじいちゃん)は音を実に丁寧に繊細に幾層にも積み重ねているに違いない。

最後は、紋切り型です締めます。あくまで個人の感想です。