オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ DP-570その②・・「告白」されたい!?

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ DP-570その②・・「告白」されたい!?

「今、私の目の前で、竹内まりやが、歌っているんです。スピーカー(SP)のど真ん中で。等身大の竹内まりやが!。私の方をしっかり向いて、真顔で、微笑まないで、真剣に、私だけに歌いかけている」。アキュフェーズDP-570の再生が終わると、興奮した店主はそう語った。「(竹内まりあの)声の輪郭、ボーカルがクッキリと浮かびあがり、フォーカスが完全に合っている。前回(の試聴の感想)、写真で言えば、『露出が合っている』と言いましたが、ピントが合っている(と言い換えます)。DP-750の煌(きらめ)く感じはありません。やはり、アキュフェーズ。音を変えてきました」。

エソテリックのP-OSも参戦。D/Aコンバーターは、DC-37で。

アキュフェーズDP-570。セパレートCDプレイヤーのDP-950/DC-950、D/AコンバーターをDC-37にしたDP-570と比較試聴。使用曲は、竹内まりあの「告白」。まず、950の印象。トレンディードラマの主題歌みたい。明るく、健やかで、青春を十分に満喫している感じ。広帯域、高解像度、高SN比、高域は伸び、低域は締まる。中間帯域も膨らまず、籠(こも)らず透明感がある。DC-37は、少々、影の薄い、不幸そうな竹内まりあ。高域が荒れ、中間帯域の密度、エネルギー感が弱い。高域、低域に力がある。そのためか、バックで演奏する音が目立ちすぎ、ボーカルが弱くなる。高SN比、高解像度ではある。そして、全体的に艶がある。DP-570は、高域側によらず、かといって低重心とまでいかない、帯域バランス。落ち着いたトーンを醸し出す。大人の竹内まりや。950より低歪み。湿り気がありカラッとしていないし、音調が明るくならない。陰影表現に優れ、音の輪郭をしっかりと描き出す描写力に注目した。「(ボーカリストの)素顔が見える。A級アンプのような感じです。やはり、弱音の伸びに難点がありますが(欠点といえばその点だけです)」と店主。P-OSは、ちょっとピンボケ。ハイティーンな竹内まりや。音の描写力が弱い。ただ、湿り気が感じられる。

アキュフェーズDP-570。竹内まりやさんに「告白」されたい方は、必聴。今月30日まで試聴可能。店主、前作、DP-560の仇を取れるかもしれない(注)。今回の試聴を通じて感じたのは、アキュフェーズは、広帯域、高解像度、高SN比といった一般的にオーディオに求められる要素は、常識となっている感がある。そして、それは、どこのメーカーでも同じ状況だ。今後は、音の質感の追及、もしくは、オーディオでしか求められない、表現できない音の構築、提案といった点でいかに製品を具体化していくのか注目したい。

(注)このくだり、興味のある方は、店主に尋ねてみて下さい。へへっ。