オーディオ・ベースマン見たり聴いたり  ロンドン 10インチ盤・・高音質な日本盤。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり  ロンドン 10インチ盤・・高音質な日本盤。

アイキャッチ画像のレコード。ヤフー・オークション、iiyukie40さんからの分譲品。10インチ(25㎝)の大きさのレコード盤。国内製造盤。「10インチ盤の音質は素晴らしい。『SXLよりも優れている』というのが私見ですが…」とiiyukie40さん一般的にレコードとは、12インチ(30㎝)盤を指すようだ。”SXL”は、12インチ(30㎝)。

1963年。英国スタンパーを使い日本でプレス。キングインターナショナル発売iiyukie40さんからの分譲品

同感。10インチ盤の方が、低歪みで聴こえてくる演奏が自然。SXLが、劇的要素を狙った鋭く、鮮烈な音の輪郭、立ち上がりのハイスピード感が、衝撃的。だけど意図的に作り込まれた人口的な音に聴こえる。エコー(響き)をかけ過ぎて、少し歪みというか、演出過剰の感がある。新鮮味でパンチの聴いた音のSXLか、逆に、オーバーな表現を極力抑え繊細に纏(まと)め上げられた10インチ盤か、僕は、10インチ盤を取る。オーディオ的要素でいうと、レンジの広さ(広帯域)、優れた高域特性、高解像度ではSXLも10インチ盤は互角。澄み切ってくすみの無いSN比、締まりの利いた低域表現では、SLXが上。再生される演奏全体の微妙なニュアンス、密度感といった要素で10インチ盤がまさり、コンサート会場で聴く音に近いのは10インチ盤だと思う。

写真のレコード。いずれも、1963年発売のレコード。この時代、キングレコードは、英国のスタンパーを輸入して、国内製造。「12インチ盤でも音質は、SLXと変わらない」というのが、ヤフオクに出品している多くの音楽愛好家の弁。聴き比べると確かな話。また、文春新書・『新版 クラシックCDの名盤』(宇野功芳、中野雄、福島章恭)2015年第5刷・465ページにこんな一節がある。 中野さんの解説。 CDの板起こし盤(レコードを再生してCDに吹き込む)の話の中。「~『状態の良いLP盤とは何か』(中略)~石油ショックが世界を襲う1973年前のレコードのことを言う。LPレコードが世に出てからしばらく、関係者は実に丁寧に商品を作った」。過去の日本製のレコードの音質は、優れたものが多かったようだ。しかも、中古市場で海外盤に比べ、圧倒的に安価。我々は、過去、現在を含め、日本のレコード生産技術を見直すべきだろう。