オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ C-290V その④・・臆(おく)しない音。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ C-290V その④・・臆(おく)しない音。

C-3900の描く音の輪郭。滲みのない鋭角なデジタル写真。それに比べると、私、C-290Vは、「クレヨン」で描かれた絵画でしょうか?。 縁取りは、極太です。 少々、稚拙で、大雑把で『お絵かき』レベルかもしれません。オーディオ的にいうと、「音数が足りない」とか「情報量が少ない」という表現になるのでしょうか?。ただ、この表現、私に言わせると、あまりにも音楽からかけ離れた言葉です。

RAVEL All the Works for Orchestra。米VOX。指揮 スクロヴァチェフスキ ミネソタ管弦楽団。rudolf_kempe_germanyさんから分譲品。超絶オーディオファイル。C-290Vの再生では物足りないかも。

店主・細川さんが仰っておりました。「(ジャズを聴いていて、C-3900に比べ、音の)背景がない。色々な音が聴こえない。躍動感、空気感 (客のざわめき、演奏メンバーの動き) 、清澄感、冴えた感じがない。ですが、ボーカル、ベースが浮き出てくる。音の立ち上がり、スピードは、遅い。が、(音に)メリハリがある。(C-3900を前にしても)臆しない、積極的で、恥ずかしがらない(感じの)音です」。少し、考えこんで続けられました。「帯域バランス。C-3900に比べ、上も下もカットされている(狭い)。ですが、その分、(狭い中にエネルギーを供給するので)エネルギーに余裕がある感じ。パワーアンプにもスピーカーのウーハーにも負担をかけずに再生している。だから、音が痩せない。骨格がしっかりしている。高域は落ちますけど」。澄み切った音場空間、高SN比が好きな店主ですが、「音の佇まいがいい。適度な【曇り】が遠近感になっている(ためそう感じさせるのでしょう)」ということでした。

私の所有者は、どう感じたのでしょうか?。「以前、C-290VをC-3850と比べた時、(C-3850の)そのハイ上がり、高域よりの音調が気にかかった。たしか、C-290Vは解像力も落ち、【曇った】感じに聴こえたが、C-290Vの帯域表現はフラット(平坦)な感じに聴こえた。その辺が、最大の違いで、C-3850の聴かせる音では、自分に<ググッ>と来るものがなかった」。「C-290V、C-3900ともに”フラット”。C-3900は、突出した帯域がない平坦な音だが、デジタル的解像力を兼ね備えており、この”精密なフラット”さに一度、魅了されると、あらがえないと思う。とはいうものの、’無味無臭’のC-3900に比べ、’仄暗い’C-290Vの音調を僕は、取る。これは、好みの問題だ」。

ありがたいことです。