洋酒 酒徒礼讃 ニッカウヰスキー フロム・ザ・バレル・・真のジャパン・テイストのウヰスキー。

ニッカ フロム・ザ・バレル (FROM THE BARREL)。アルコール度数 alc.51.4°。重苦しい琥珀色の液体がこのウイスキーの味を物語る。

香りは、重く濃厚。その香りは、深く濃縮されたバニラの甘さ、やや酸っぱい柑橘類の芳香をミックス。華やかに香りが漂ってこない。だから、鼻先を、グラスに近づける。口に含むと口蓋に「ガツン」と強烈な酸味。ご安心めされ。酸味が鼻に抜けることはないので咳き込むことはない。が、思わず「ウッ」と唸りたくような刺激で参ってしまう。それを、堪(こら)えつつ飲み込むと、甘味とともに酸味と苦味が舌、口中に残る。しばらくの間、残る。思わず、口の中の唾を飲み込み味を洗い流そうとする。数回、飲み込んでもそれらの味は消えない。やや、不快な感じもする。それでも、ショット・グラスに液体を注ぐのだから、ウイスキーの魅力は不思議だ。

このウイスキー、爽やかさ、新鮮さ、明るさ、朗らかさといった微笑みかける要素を持たず、「極太な甘味」、「柑橘系の酸味」、「苦味の残滓(抉(えぐ)味)」の三つの骨格で重厚なトーンを醸し出している。その中の一つが弱くなってはこれほどの魅力は感じないであろう。これが、「竹鶴の作るウイスキーの本領だ!」と言わんばかりの味。仕上がり。

複雑さ、雑味の無い、生真面目なジャパン・テイストのウイスキーだと思う。

 製造者 ニッカウヰスキー㈱6 東京都港区南青山5-4-31 NIKKA WHISKY FROM THE BARREL (フロム・ザ・バレル)定価2500円ほど。販売者 アサヒビール㈱ 東京都墨田区吾妻橋1-23-1。