オーディオ・ベースマン見たり聴いたり マニタス・デ・プラタ・・柳沢功力さんが聴かせてくれました。

マニタス・デ・プラタの芸術。VOL.3。45回転盤。日本ビクターのフィリップス・レコード。第一集(VOL.1)は二枚組と,第二集(VOL.2)は33回転。柳沢功力さんが昨年のオーディオショウで聴かせてくれたのは海外盤かな?。

2018年11月17日(土)、東京インターナショナル・オーディオショウ。テクニクス(Panasonic)のブースで講演された評論家の柳沢功力さんのセレクト。演奏、音楽ともに秀逸。普段聴かない分野なということもあり、LPをオークションで入手。

B面の“セギリヤス”。歌い手は二人。左のスピーカーからホセ・レイスの歌唱、右はリカルド・バラルド。センターのやや右でマニタス・デ・プラタがギターを弾き、合いの手を入れる。曲の終わりの拍手の様子から3人の背後を取り囲むように5,6人の客がいる様子。左右の奏者の定位とその傍(かたわ)らの聴き手の存在を聴かせることで録音に奥行きが出ている。

音楽の背景が静かな高SN比、といっても「澄み切った」「静寂」「無音空間」といった非人間的な表現を求めず、曇りなき漆黒(しっこく)の闇の中に3人の奏者が浮かび上がり、その背後に「人の気配」を感じさせるSN比の良さ。帯域は広くないが、中間帯域を中心にして高解像度、密度が高い。音の輪郭を極太に描き高レスポンス。結果、極めてハイ・コントラストで立体的、肉感的な音像を構築している。録音現場は、教会内(おそらく、西部劇に出てくるような小規模なもの)。マニタスがいつも演奏している飲み屋では録音機材が設置できないので、教会内に「居酒屋を再現し、客も入れて」録音したとか(柳沢さん談)。残響音を抑制した音場、やや嗄(しわが、もしくは、しゃが)れながらも湿り気を帯びたボーカル、乾ききった木質のギターの響きが臨場感を与えている。

***レコードに関して、柳沢さんが仰っておりました。以下はその概要です。

① レコードはすり減ることは、無い。埃、ゴミの付かない環境で使用すれば大丈夫。リフターは使用すべし!。昔は、「そんな物、使わないのが通だ」という愛好家の話があったが、手元が狂えば盤面にキズをつける。

② くわえタバコ。塩化ビニールは熱に弱い。かつてタバコを吸っていた自分のレコードにその後がある。

③ レコード針がすり減るということも無い。天然ダイヤを針先に使っていた頃と違い、現在は人工ダイヤを使用。しかも、結晶化の精度が格段に上がり、強度は十分。品質が安定している。

④ CDの曲間は短すぎる。フィッシャー・ディスカウの来日時「冬の旅」歌唱中、曲間では十分な間を取り、ピアノの奥で水分を補給したり、十分に間隔を空けていた。そのため、(柳沢さん自身)歌の余韻に浸れた。その「空き」が鑑賞中にも欲しい。それで、わざわざ、自宅で鑑賞中、席を立ちリフターでアームをレコードから外している。

なお、午後7時以降は、レコードを聴かないそうです。7時以降は「お酒が入るため」ということです。その気持ち、よくわかります。(お酒が回り、手元が怪しくなる。また、気が付けば、レコードを掛けたまま、気持ちよく無我の境地(寝る)になることも、しばしば・・・。

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