オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 瀬間千恵・・派手な歌唱に陥らない表現力!

瀬間千恵。
瀬間千恵。「銀巴里ライブ 幸せな愛などない」1981年10月31日。ビクター。ソナスのアマティ試聴会でノア営業の遠藤さんが試聴に使った一枚。ヤフオクで運よく落札。入手は非常に困難かと。CDは現在も発売中。

マリア・カラス並みの表現力といったら褒め過ぎだろうか?。この方は、これからも密かに語り継がれていく歌い手だろう。歌詞の内容、使用語句の問題から一般の電波にはまず、載らない。試聴会で聴かなければ、生涯、瀬間さんの歌を知らないまま人生を終えたと思う。試聴会、できれば、「おお!、こんな素晴らしい歌手、演奏者、音楽があったのか!」と思わせる一枚を聴かせて欲しい。

声楽の帯域の表現を重視した録音の印象。帯域は広いと言い難い。解像度も高域、低域とも緩みがちでSN比もややくすみがある。ピアノ、ギター、チェロといった伴奏楽器の音質がもう一息。ライブ録音ということもあるだろうけど。だが、ボーカル帯域。コントラストが高く、奥行きが深い。瀬間さんの柔らかく、立ち上がりの早い歌唱、「さらり」とした歌いまわしの魅力を的確に再現している。明瞭な発声、訥々と淡々と語りかけ、陰影感の強い秀でた表現力と相まって、スピーカーの中間にポカリと彼女の音像が浮かび上がる。

如何に力を、感情を込めても歌舞伎の「大見得」を切ったような派手な歌唱に陥らない。そこが素晴らしい!。

なお、このLP、ソナス・ファベールのアマティ、B&W805D3、ハーベス・モニター30、KEF LS50、ブロッドマンVC1で鑑賞。一番感銘を受けたのは、アマティでした。