オーディオ・ベースマン 見たり聴いたり アナログPL その参 トーレンス TD350

DSC_0053 卓上カセットコンロ大の大きさ・・・と書くと安っぽく見える。安物には見えないが、かといって、高級品には見えない。このトーレンス・TD350は、SMEのアームこみで、150万円ほど。カートリッジは、マイソニックの二番目に高額な35万ほどのカートリッジである。一般の感覚すると高級品である。

設置は、クワドラスパイアーのラックの上にアコースティック・リバイブのオーディオボード(RAF-48H)を置き(空気は入っていない)、その上にプレーヤーを乗せている。

「このプレーヤーの音は、タンノイのGRFを思い出させます」。感慨深げに店主はつぶやいた。

全体的におとなしい(正統的な)音という印象。高解像、広帯域、高域特性をいったオーディオ的な要素を狙うのでなく、あくまで音域全体をストレスなく再生することを目標にS/N比(音楽の背景が静か)を高め、各楽器の音の柔らかさ、あたたかなニュアンスといった人肌感を芸術的に再現している。高域は繊細に上方に伸び、中域は倍音豊かに、”ややくすみ”を交えて響き、低域は適度に引き締まり、エネルギー密度も十分な質感。音場は、コンサートホールの空気感をそのまま持ってきたかのように広がる。繊細なフェイス・ブラシで肌を撫でられたような恍惚感を感じさせる一方で、崇高で充実した音楽も聴ける。

時間が無くエクスクルーシブP3との比較試聴ができなかったことは残念だ。このプレーヤは、現代的なアナログプレーヤーとは一線を画し、音楽に浸りたい、埋没したい人向け。そんな性格のプレーヤーがあるということで、一聴の価値があると思う。

なお、使用機器は、プリアンプ アキュフェーズC-3580 パワーアンプ同A-200 フォノイコライザー同C-37 クリーン電源同PS-1200 同PS-520 スピーカーB&W802D  ケーブル類は、高額はものは使用しておりません。1万から5万円ほどのオーディオ的にはリーズナブルな価格のものです。

以上、トーレンスのプレイヤーを含めると1.000万ほど。いわゆるハイエンドでの試聴でした。